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それは、将棋から始まった。

隣のご主人から将棋でも指しにきませんかと声がかかった。
「!将棋?。小学校以来したことないなー。」と思いながらとりあえずお隣へ。
お宅へおじゃますると、何故か話が弾み、プロの絵描きさんだという隣のご主人「藤井勉さん」に絵を習う話になる。

趣味で漫画を描いたりしていますという私に、藤井さんは「えー!偶然だね、実は私も以前描いてましたよ。」 (後で「ガロ」掲載を知る)漫画のためのデッサンなんてと思っていた私もそれでスッカリ気分が楽になり、本当に一から教えを請う事になった。

まず、卵の鉛筆デッサンから、私が楕円の卵形を書き影の調子をつけていると、「いいねー」と言いながら、「ここをこうするともっと良くなるよ」と、卵ではなくその向こうの空間に鉛筆を走らせた。すると突然、卵がスケッチブックの上に浮き上がってきた。

私の描いていたグレイの楕円形が、みるみる真っ白な卵に変身していく。まるでマジックのように思えた。「すごーい!こりゃー面白い。」 それから絵の世界に没頭した。

家にいても周りにあるコーヒーカップや花瓶、バスケットとなんでもかんでもスケッチ、白い紙の上に描いたものが浮き上がってくるのが楽しくて描きまくった。描いたらすぐ何時でも隣に走って藤井さんに見せた。あの頃の藤井さんはよく徹夜で描いていたから、絵は徹夜で描くもんだと思っていた。見せるもの全部褒めてくれた。「気分は最高だった!」今思い出すとチョー恥ずかしいー。(^_^;)

「褒め上手の教え上手」藤井さんと千恵子婦人に乗せられて、次は水彩、そして油絵と
あっという間の3年間でした。そして3年目には「せっかくだから個展やったら。」奥さんの一言で夢にも考えていなかった個展まで、ずうずうしくやっちゃいました。それも2回も。

 そんな私の狂騒劇の中、藤井さんはシェル美術賞、昭和会展賞、安井賞と著名な賞を次々と受賞していき、岩手県に藤井勉あり、と画壇の一角をなし、フランスで個展も開いたとの事。

20数年前の出来事です。

あれからは、忙しくて教える暇などないだろうから、私がたった一人の弟子ということになる。これ唯一の自慢だけど、転勤と共に筆を持つ時間が減って、いまじゃ、さっぱり、「藤井さん、スミマセン」あれだけ貴重な時間を割いて教えていただいたのに。m(_ _)m

  今、painterでoil paintingに挑戦してます。上手く使えるようになりましたら、もう一度、昔のように一言お願いします。


◆藤井勉さんの画集・書籍は次の通り
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