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ふたつの「泥の河」 03/12/10

好きな邦画に「泥の河」がある。

1981年公開、原作は宮本輝の太宰治賞受賞の同名小説、小栗康平監督のデビュー作だ。出演は田村高廣、藤田弓子、加賀まりこ、殿山泰司、芦屋雁之助など芸達者揃い。

小学生の友情と大阪の人々の人情話だ、淡々としたストーリー展開で、その時代でも珍しいモノカラーの作品。今でもその情景が浮かんでくる。不必要なものがカットされていて、場面場面が象徴化されているようで、まるで劇場での芝居を見ていたような気にもなる。心が落ち着き、不思議な余韻を残してくれた。

実はこの映画のことを考えていて、芸人マルセ太郎さんを思い出したのだ。
マルセさんといえば、「サル芸」が思い出されるが、いつの間にか芸が変わっていた。
マルセさんの出し物は「スクリーンのない映画館」という独特なもので、マルセさんの視点で1本の映画を最初から最後まで語り尽くす一人話芸だ。私はTVで「泥の河」を拝見した。

一度見た映画を人から説明されてもなー、それも一見怖い顔をしたマルセさんからじゃと思いがちだが、とんでもない。マルセ太郎の世界が映画を包み込んで、こちらにドカーンとぶつかって来た。ぞくぞくした。ただただ感動です。
ラストで小学生の主人公が叫ぶ「きーっちゃん !、きーっちゃん !」という言葉はマルセさんのダミ声に変わって記憶されてしまった。

一度、生で拝見したいと思った。
しかし、その時既に肝臓ガンと闘いながらの舞台だった。

あれから、大分経っているのでどうしておられるのかと、googleさんにお尋ねしたところ、2001年1月にお亡くなりになっていました。
日本のボードビリアン「マルセ太郎」さん!  心よりご冥福をお祈りいたします。

マルセさんのサイトがあります。    www.salusalu.com/maruse/ ( このサイトの、マルセ太郎エッセイ「Be動詞」は必見です。)
撮られることが嫌いなマルセさんですが、「スクリーンのない映画館」の数ある演目の中で「泥の河」「生きる」「息子」の三つだけはビデオとして今でも販売しているそうです。まだ見てない方には是非お奨めします。もちろん映画もマルセさんも両方です。

映画で泣いて、マルセさんで又泣いてください。


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