■ ボンボヤージ!! ハル(船体)を手で触ると、劣化した白ペンキがぽろぽろと剥がれ落ちた。 マリーナの裏手に一艘の古びたヨット。 昔懐かしい木造艇だ。 ここに放置されて、どのくらい経っているのだろう。 処分されずに残っているのが不思議な位、傷みきっている。 悲しいけど、この状態では海に浮かべることは不可能。 木造艇はどうしても水が浸透してしまい、維持する手入れが大変で今ではほとんど作られていない。 現在は、安い、軽い、手入れが簡単と3拍子揃ったFRP製のお風呂ヨットばかり。 でも、木造の鎧張りハルは、ツルピカヨットにはない、なんとも言えない味がある。 側にマストとブームが置いてあった。 イタズラ心が湧いてきて、マストをセットしてみた。 ヨットらしくなったけど、セイルがないとやっぱり変だ。 サイドステイに風見をつけてみた。 風がやさしく吹いて、ひらひらと風見が舞いだした。 草原の海の中、 最後のセイリングが始まった。 「ボンボヤージ!!」
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