素潜りが好きだ。
あんなに簡単に別世界へいけることはないと思う。
顔を水に浸けるとよくわかる。
突然、別世界へ突入する。
息を止める。
光の感じが変わる。
音が消える。
違和感というより、
不安感・恐怖感を感じる。
たとえ、洗面器で顔を水に浸けただけでも
この不思議な感覚は感じることができる。
このゾクゾクとくる感じは、
ジェットコースターで笑い声とも悲鳴ともつかない声を
あげるのに似てるかもしれない。
海藻の生い茂る岩場で潜ると
この感覚は倍増し、もうたまらない。
黒い海藻は足元に漂い、いつ巻きつくかもしれず、
岩陰は不気味なほど暗い。
太陽の光は波でたえまなく形を変え、
海底へと吸い込まれていく。
そして、波がちょっとだけ、体の自由を奪う。
呼吸を整え、
体をくの字に折りまげ、頭が下になったら、
一気に海藻目がけて潜る。
海藻を手で掴み、掻き分けながら
ドンドン潜っていく。
何かが突然顔の前に現れるかもしれないと
感じながら、
本当に、突然ウツボが口をガーッと
あけて威嚇する場面に出合うこともある。
呼吸のできない苦しさと、
不気味さにドキドキしながら、
1分少々だと思うけど、
もうだめだと思うまで潜っている。
限界ぎりぎりで、やっと体をひねり
上を目指す。
海面についたら、
シュノーケルの管にたまっている水を
最後の力を振り絞って
思いっきり吹きだす。
呼吸をすると、
ノー天気な太陽がこれでもかと輝いている。
遠くに子供のはしゃぎ声が聞こえて、
あー、別世界から戻ってきたと感じる。
このギャップがたまらなく好きで
子供のように時間を忘れて遊んでしまう。